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らんま1/2の二次創作&日々の徒然なること…?
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「彼を守るため、身を捧げる……ロマンチックよね……」
「そーよねー! 彼のために命を賭す――素敵よねー! 愛よ愛!!」
「「本当に良かったよねーこの映画!!」」

1-F あかねの席。
そこであかねの親友、さゆりとゆかは、うっとりとした表情のまま胸元で手を組んで、どこかの世界に意識を飛ばしている。
それは連続一位を取り続けている、ファンタジー映画の話題。
先週末、二人で見に行ったその感想を、週が明けた今、あかねに報告していた。
もちろん、あかねも誘われたが、気乗りせず、後ろめたい気持ちになりながらも"用事がある"と嘘をついてしまった。

気乗りせず――それは映画の内容にあった。
姫と騎士という身分差の恋、中世をイメージしたラブストーリー。
それはいいのだが、命を賭して、姫が愛する騎士を救い、その姫を失った騎士は絶望しながらも、立ち直るという、そこが問題だった。

以前ならば、一緒に騒いでいたかもしれないストーリー。
けれど、あかねはつい先日の己自身を思わず連想してしまい、イマイチ話には乗れなかった。

「あかねもそう思うでしょ!!」

問いかけに我に返ると、あかねの席の前に立ちながら、身を乗り出し、あかねをじっと見つめる二人。

「え……う、うん……」

心の中では同意出来ない気持ちがあったものの、勢いに圧されて、あかねは思わず頷く。
友人たちは知らないのだから、罪はないと、思ってはいるものの、居心地の悪さを感じていた。



死――



大切な人を救いたいという一心で、身体が動いていた、呪泉郷での戦い。
そこで、あかねは命を落としかけたが、それを必死で拾い、救ってくれたのは、乱馬だった。
いつも、いつも守ってくれるのは乱馬だった。
どんなに悪口を叩いても、最後は守ってくれる――改めてそれを強く感じ、そして乱馬と気持ちが少しだけ、たった少しだけれども、通わせることも出来たから、良い思い出で終わった、そう思っていた。

だからこそ、もしかしたら"こうしていられなかったのかもしれない"、と、ふっとした瞬間、恐怖が訪れることもあった。

あかねは思わずちらりと乱馬の様子を伺う。
すると、近くで悪友の大介やひろしと大声を上げて笑っており――

(バカ……)

何だかわからない小さな苛つきを覚え、思わず溜息が漏れた。
それを見たゆかとさゆりは顔を見合わせると、悪い笑みを浮かべる。

「乱馬くーん!」
「……あん? 何だよ」

甘えたさゆりの呼びかけに、明らかに不機嫌そうに返事する声。

「ちょ、ちょっと!」

自意識過剰かもしれない。
けれど、きっとこの話題は乱馬もいい気持ちはしないだろうと思い、あかねはさゆりを止める。
だが、そんな声など届くはずもなく、ゆかとさゆりがちょいちょい、と手招きすると、乱馬に続いて大介とひろしも、何だ何だと、あかねの席の側にやって来た。

「この映画、いいのよー! 乱馬くんにオススメなんだけど!」
「……は?」

言いながら、さゆりは見に行った際に購入したパンフレットを机に広げる。
大介とひろしは、あぁ、あれか、と見た瞬間にわかったものの、乱馬は首を傾げる。

「あかねと観に行って欲しいわ!」
「ねぇーー!」

何で俺があかねと、という否定の言葉を紡ぐが、二人は聞きもせず、再びうっとりとした表情を浮かべ、簡単にあらすじを述べ始めた。
しぶしぶと、それでも話を聞きながら最初は頷いていた乱馬。
だが、話が進むに連れて、次第に乱馬の眉が顰められた。

マズイ、と思ったあかね。
やはり無理やりでも止めれば――と後悔しつつ、何とか終わらせようと口を開こうとしたが、遅かった。

「これ、あかねと乱馬くんなら、あり得そうよねー!」
「おぉ。乱馬なら省みず、あかねのために飛び出すに違いない!」
「あかね命、だからな!」
「あかねだってきっとそうよー! キャー、ロマンよロマン!!」

と、乱馬を小突きながら、いつもの様に四人はからかう。
その騒ぎに教室中が楽しそうな視線を向け、日常化とした趣味とも言える、からかいの光景。

だが、内容が、悪い。

あかねがそう感じた瞬間、ぞくり、と背筋が凍った。




「くっだらねー」




不機嫌そうな表情での、腹の底から響くような声。
大きな声ではなかったというのに、教室に響き渡り、周囲のざわめきが止まった。

四人にとっては、"いつもの"からかい。
だが、乱馬は"いつもの"慌てふためきはなく、たった一言そう呟いただけで、教室から出て行ってしまった。

「な、何だ……?」
「……あ、あたし何か変なこと言った!?」
「な、何か悪かったか!?」
「ど、どうしよう!?」

四人は、いつもと様子の違う乱馬に戸惑いを覚え、オロオロとしながら、あかねを見た。

「乱馬っ!」

だが、あかねは救いを求める様な四人に「ごめんね」の一言のみで、勢い良く立ち上がると、その背を追った。
遠くで、教師のひな子の声が聞こえたが、それに答えている暇は、あかねになかった。





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